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つっちーとの対話(6)

三たび、土山君へ
                            2006.10.25  小野 洋
○「正義」を言う時に気をつけて欲しいこと
 前回に僕が書いた「個人としてよりよく生きる」ということですが、決して自分の保身と利益だけを追い求める生き方を言っているのではないのです。人間は他者と共に生きていて、その他者のために何かすることが深い喜びとなることもあるし、冒険家のように命を賭して大きなチャレンジをすることが人生の課題となることもある。そして君の言うように、他の多くの国で戦争などで不幸な目に遭っている人たちがいるのに、自分たちが大量に資源を浪費し、自らの幸福のみ追い求めるいわゆる先進国に住む僕たちにつきつけられているものは大きいと思います。
 今、日本の政府が突き進んでいる道は、この大量消費の生活を維持するためのエネルギーを確保し続けるために、アメリカの世界戦略の片棒を担ぐということだから、そのもとで安穏と平和を享受するだけでは、確かに貧しい国から恨まれてもしかたありません。
 でも、今のこの日本の中でも、君の言う「必要とあれば、戦争を憎む者として行動し、自らを危険な立場に置ける勇気」を持って行動している人はいます。たとえばアフガニスタンで辺境の農村に入り医療活動を続け、住民のために井戸を掘り続けている医師の中村哲さん。最初は病院を襲撃し物を奪おうとしていた住民も、彼の地道な活動に心を打たれ、一緒に井戸を掘っています。それから、2年半前にイラクで人質となった高遠菜穂子さん…彼女は米軍の攻撃のため医薬品が届かなくなった病院やストリートチルドレンの心配をしてイラク入りし、人質となりました。(彼女たち3人へのバッシングは記憶に新しいところです。)そうした民間のNGOのような活動をしている人たちは、真の意味で「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」と宣言した日本国憲法の精神を体現しているのだと思います。
 こうした活動に個人として、国として取り組んでいる姿が真に「美しい国」であり、それはまさに現在の日本国憲法の精神そのものだと僕は思います。ちなみに、原発銀座と言われている福井県の若狭で長年反原発運動に取り組んでこられた、明通寺住職の中島哲演さんたちが、宗教者からの提言として、「自衛隊を災害救助隊へ」という提言をしています。これはとてもいい考えだと思います。(ちなみに僕は以前やっていた「国際救助隊・サンダーバード」の番組がとても好きなのですが、あんなのをイメージしてしまいます。)
 明治維新で死んでいった「志士」のような人たちがいなければ、世界と日本の危機は乗りきれない、そういう思いも分かりますが、どんな志を持ちどんなやり方をしていくのかをよく考えないといけないと思います。

 正義について一つ言えば、戦前、日本が侵略戦争に突入しアメリカとの無謀な戦いの末破滅的な結末に至った直接のひきがねは、2.26事件などを引き起こした軍の将校たちに見られるような「素朴な正義感」だったようです。当時の貧しい農村の苦しみを見るに見かねた軍人たちが、悪の根源はひたすら利益をむさぼっている財閥とその擁護者である政権政党の幹部の命をテロで奪いました。その正義感に基づく行動に感動した国民の気分が、戦前でも充分育っていた民主主義をことごとくなぎ倒し、時代を戦争に動員していったのです。この辺のいきさつを、立花隆が『天皇と東大』(文藝春秋社)という本で克明に描いています。今、上下で1500ページあるこの本のクライマックスにやっとたどりついたのですが、軍の将校たちのやむにやまれぬ思いなども描きつつ、それがどう社会に作用して日本が破滅に至ったかを書ききろうとした大作です。
 この本などを読みながらも思うけれど、「正義」の中身をきちんと吟味しないと、その御旗のもとにどこに連れて行かれるかわからない。少なくても60数年前の戦争では、利益と保身を求めた財閥でなく、正義を旗印にした軍部がアジアと日本の民衆の命を大量に奪った悲惨な戦争を主導してしまったのです。
 それからもうひとつ。一人の個人が、自分の自由意志で高い志をたて高貴な仕事に取り組むことはとてもすばらしい。それは君の言うとおり、今の日本人全体に足らないことでしょう。しかし、志や正義は他者や国家から強制されるべものではない。それを極端なかたちで日本人全体に強制したのが、戦時中の日本だったと思います。そして今の政権が教育基本法の改正でやろうとしていることの一つが、この「志と正義の強制」だと思います。
 そして、高い理想のもと正義を求めて生きる人間と同時に、ささやかな身の回りの幸福を大切にし、自分の手の届く範囲で善を為しながら生きている人間が、この社会に両方いてもいいのではないですか?僕自身は、高い理想に向かいたい気持ちと、ささやかな幸せを大切にしたい気持ちと、両方を抱きながら生きていきたいです。それが僕の「ごく普通の感情」です。

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