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ビッグイシュー  突破する人びと

雑誌と本の紹介                           
   『ビッグイシュー日本版』(ビッグイシュー日本)
   『突破する人びと … 社会的企業としての挑戦』
                  (稗田和博著・大月書店)
                                  

 僕が初めて『ビッグイシュー』と出会ったのは、1年半ほど前の大阪駅前。
 「ホームレス…かな?」と思えるおっちゃんが、なにやら面白そうな雑誌を抱えてたたずんでいる。大きな声で宣伝するでもなく、行き交う通行人の邪魔にならない程度に目立つような場所で。
 掲げている雑誌の見本を覗き込むと、“200円のうち110円が販売者の収入になります”と書いてある。“ホームレスの仕事をつくり自立を応援するTHE BIG ISSUE ”とも。そしてなんと、その号の特集として“ひきこもりの現在”なんて書いてある。「へぇー!」と、思わずポケットから100円玉を2個取り出していた。(※1)

 ページをめくってみると、これがとっても面白い。トップのインタビュー記事は、よく知らなかったが、ハリウッドで注目を浴びる若手俳優ジェイク・ギレンホール。ゲイのカウボーイや湾岸戦争に参加した海兵隊員の役などを好んでやるらしい。ふぅーん、ハリウッドにこういう俳優がいるんだ。パラパラめくると、ひきこもりの特集では、ラミ中に来てくれたこともある当事者の上山和樹さんと、今をときめく精神科医・斎藤環さんの対談があって読み応えがある。少しおつきあいのある「淡路プラッツ」という青少年自立支援団体の代表の方の話も載っている。

 しかし更に感心したのは、初めの方のページにある“販売員行動規範”。「真面目に働いているビッグイシューの販売者の生活を守るために、ルールを守らない人から買わないようご協力をお願いします。」と書いてある下に、「①割り当てられた場所で販売します。②ビッグイシューのIDカードを提示して販売します。…④酒や薬物の影響を受けたまま、『ビッグイシュー日本版』を売りません。⑤他の市民の邪魔や通行を妨害しません。」等などの厳しい文言が並んでいる。これは、ホームレスの人たちへ慈善事業を施しているんじゃなくて、仕事としてやってもらっているんだ、というのが感じられ、すごいなあと思った。
 

最近では、三ノ宮のダイエー前の交差点で販売員の人を見つけて買った。表紙はなんと「スパイダーマン3」、巻頭インタビューでは主演のトビー・マグワイアが自分のことを語っている。特集は「身体をリスペクトする」というので、劇作家の平田オリザや武道家の内田樹が出ている。これも僕の興味関心のツボを突いている。スマトラ地震の記事があったりで、なかなかの社会派雑誌……おおっ、『生きさせろ!』の雨宮処凛の連載まで始まっている!

 ちなみに最新号のスペシャルインタビューは、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ。最近来日して、『幸せのレシピ』という映画でシェフの役をした関係でか、「ビストロ・スマップ」にも出演していた。一つ前の78号ではU2のBono、バックナンバーでは『ハリーポッター』のダニエル・ラドクリフ、『パイレーツ・オブ・カリビアン』のジョニーデップなどをはじめ世界的な俳優やミュージシャンの顔がズラッと並ぶ。もともとビッグイシューはイギリスでホームレス支援のために始められたストリートペーパーで、本場のイギリスではホームレスの問題などに有名人が関わるのは一種のステイタスだとのこと。それをそのまま日本版で使っているだけでなく、日本のオリジナルとしてUA、石田衣良、アンパンマンのやなせたかしなどの号もある。あっ、と思ったのは、ガンダムのアニメの表紙と西原理恵子のマンガの表紙。
 もともと若者向け、というコンセプトで始めたとのことだが、最近では若者の問題、環境問題などあらゆる社会問題に目を向ける内容で、読者層が広い世代に渡るようになったという。最新号の特集は「海に愛を、食卓に魚を」で、漁業・海洋資源と環境との関わりなどについてとても勉強になった。


 最近ぼちぼちと始めた神戸大学の学生さんたちとの勉強会(学童保育所のどんぐりクラブを使わせてもらっている関係で、『どんぐり大学』と呼んでいる※2)で、ビッグイシューについてのルポルタージュ『突破する人びと…社会的企業としての挑戦』を読んだ。

 ネーミングのとおり、すごい、と思った。チャリティーではなく、ビジネスとして困難な社会問題に挑むその姿勢…。本家イギリスのビッグイシューは、企業などがたくさん広告を出すのに対して、弱者に冷たい日本社会の中で、「絶対無理!」「100パーセント失敗する」という声を押し切って創刊され、その魅力のある誌面内容で3万人もの読者を獲得して創刊4周年を迎えている。なによりも魅力のある誌面づくりにこだわっているのがいい。社会問題に取り組む者の端くれとして、うーん、とうならされた。
 本の中身のほとんどは、日本版創始者の方たちの熱い生きざまをはじめ、ビッグイシューに関わる人々の人間模様。社会活動に縁もゆかりもないままビッグイシューに関わり、スタッフとなって「働きがい」を実感する若者、ホームレスのまま「カリスマ販売員」と呼ばれるようになった人、就職しアパートも借りたけれど今もビッグイシューに心寄せる元・販売員…。ここに描かれた一人ひとりのプロフィールだけでも十分ビッグイシューの魅力が伝わってくる。

 その日の「どんぐり大学」には、販売員の方が参加してくれて、ビックイシュー路上販売の実際や裏話をいろいろ聞かせてくれた。最初に「販売員にならないか」と誘われた時は半信半疑だった(※3)が、西成区の図書館で見て、これはオモロイとやる気になったこと。最初の頃は全然売れない日もあったが、今では常連の客もついて、差し入れしてもらったり長々と立ち話をすることもあること。「業務請負」なので売れなければそれまでという大変さもある半面、自分で工夫してどうやって売上げを伸ばすか考えたりが、なかなか楽しいとのこと。なにより誌面内容がウリなので、毎号よく目を通してから売っているとのこと…。
 最後にこの販売員の方(※4)が、こんなことを熱く語ってくれた。「私らホームレスは、なんといっても孤独なんです。人付き合いが苦手な人もいるけど、見かけた時に『おっちゃん、体だいじょうぶか?』と聞いてもらえるだけで本当にうれしいんです。ホームレスじゃなくてもいい。誰か困っている人がまわりいたら、声をかけてあげて。そんな声かけから、少しずつ世の中がよくなっていくのと違いますか?」…ビッグイシューの記事にも販売員が回答者の『ホームレス人生相談』というコーナーがあるけれど、苦労が半端じゃないだけあって、言葉に本当の重みがある。


 ビッグイシューはホームレスの販売員の独占販売だが、バックナンバーなら5冊以上で送ってもらうこともできる。でも、路上にいる販売員はだいたい多少のバックナンバーを持ち歩いていて、頼めば仕入れて持って来てくれるとのことなので、興味のある大阪・神戸・東京などの方には、ぜひ販売員の人から買ってほしいと思う。 


※1.ビッグイシュー日本版は、JR大阪駅付近他の市内各地、神戸では三ノ宮ダイエー前、国際会館西向かい、元町駅東口付近に“移動販売所”があります。東京や地方都市の一部にも販売網は広がっています。詳しくは発行者に問い合わせるか、ホームページで。 
     有限会社ビッグイシュー日本(06-6344-2260) 
        http://www.bigissue.jp/

※2.「どんぐり大学」は月一回、だいたい水曜の夜7時くらいからやっています。学生とフリースクール・子どもの居場所関係者で立ち上げましたが、どなたでも参加できます。関心のある方は、ラミ中・小野まで問い合わせるか、六甲学童保育所どんぐりクラブ(078-801-8574)まで。

※3.ホームレスの人たちは実はよく働いている。人目の少ない夜などに空き缶やダンボール集めをするのが代表的な仕事。それで昼間は公園などで寝ているため、「なまけている」と誤解されやすい、とのこと。この販売員さんも、「空き缶集めなどの汚れ仕事よりいいのでは」と仲間を誘うのだそうだが、「そんな雑誌売れるわけあれへん」となかなか信用してもらえないのだとの事。

※4.この日出会った販売員さんは、ホームレスのバンド『OHBB』(大阪ホームレス・ビッグバンド)にも参加しているとのこと。ほおっ、と思ったので、11月11日のラミ中祭に出演してもらえるかどうか、現在検討中です。もし実現できたら、ビッグイシューの最新号とバックナンバーをかついで来てもらおうと思っています。

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