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教育基本法「改正」、その後

 なぜ急いで変えなければならないのか?…という問いにまともに答える事なく、昨年12月に教育基本法が「改正」されました。それも、その「改正」のプロセスで「やらせ」のタウンミーティングをするなど、「規範意識」を大上段から語る政治家自身が規範意識を疑われるようなことをしていた事態が明らかになる中ででした。また、「いじめ」の問題などを現場の声を聞きながら根底から考えようという営みもないままの採決でした。
 しかし、問題はここで終わりではなく、ここからが始まりだと思っています。
 思えば戦前は、天皇を国の統治者と定めた大日本帝国憲法と「教育勅語」に基づき、子どもを「りっぱな軍人」「良妻賢母」として育てることを当然とした教育体制でした。その下でも一部とは言え、自由な教育は模索され創り出されていました。学問の自由や民主的な議会政治なども、戦前から少しずつ作られて来ていたのです。侵略戦争に突き進む歴史の歩みの中で、そうした自由な教育の芽はつぶされましたが、敗戦によって、いわば外部の力で、自由で民主的な教育体制が出現しました。それを戦前に近い状態に戻したいと考える政治家たちが、じわじわと綱を引いて現場を変えて行き、ようやく教育基本法をとりあえず変えるというところまで成功した、というのが今の状況だと思います。
   だからまだ、完全に綱引きに負けた訳ではない。これまで自由で民主的な教育を求めてきた人たちが、自らの歩みをもう一度点検し、問い直すべき点を問い直して、あらたな歩みを始める時だと思います。すでに与えられた「民主教育」を守るのではなく、本当に子どもたちの立場に立った教育を創り直すのだ、と思います。
 やれること・やらなければいけないことはたくさんあります。
 「いじめ」等、教育現場の問題は終わったわけでなく、これからも取り組まないといけないことです。それも、教育再生会議にみられるような「上からの押しつけ」に左右されない、現場から積み上げるような営みはますます重要になると思います。フリ―スクールなどオルタナティブな教育の場も、不登校のみならず教育問題に「もうひとつの教育現場」としてもっと取り組んでいける可能性があると思います。
 また、教育基本法が変わっても、その上位法である憲法に拘束されます。子どもの内面の自由、基本的人権、個の尊重などは現在の憲法の大原則であり、憲法が変わらないかぎり教育基本法が「国と郷土を愛する態度を育てる」と規定していても、子どもの内面にかかわる事柄を強制するような教育を行なえば憲法違反ということになります。
 この点について、12月20日に出された日弁連の会長談話は明確に述べています。
 教育基本法が憲法の諸原則にのっとり、憲法の理想を実現することを目的にしていること。それゆえに、国家に対して、すべきこと、してはならないことを義務付ける権力を拘束する性格を持つ法律であること。その性格を端的に表現していた第十条「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行なわれるべきものである」の後半部が「この法律及び他の法律の定めるところにより行なわれるべき」と改正されたことで、教育への国家権力の不当な介入を防止するための規定から、教育の国家介入を容認する規定に変化したのではないか、と危惧されている。しかし、このように改正されても、改正をめぐる国会答弁の中で、政府自身が「その趣旨は変わらない」と明言したのだそうです。それは「旭川学力テスト事件」の最高裁判決(昭和51年)をめぐる答弁で、この判決では、
「1、教育は、本来人間の内面的価値に関する文化的な営みとして、党派的な政治的観念や利害によって支配されるべきでないこと
 2、教育内容に対する国家的介入についてはできるだけ抑制的であるべきであること
 3、個人の基本的自由を認め、その人格の独立を国政上尊重すべきものとしている憲法の下においては、子どもが自由かつ独立の人格として成長することを妨げるような国家的介入、例えば、誤った知識や一方的な観念を子どもに植え付けるような内容の教育を施すことを強制するようなことは、憲法26条、13条の規定上からも許されないこと」
とされ、さらに「不当な支配」に関してはその主体のいかんを問わないこと、教育行政についても「不当な支配」の主体となり得ることを判示しているそうです。
 そして日弁連自身が、今後の教育関係諸法令の改正作業について、「基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする法律専門家としての立場から、憲法の教育条項をふまえた提言を行うとともに、教育現場での思想信条の自由、教育を受ける権利や学習権が侵害されることのないよう不断に取り組み続けること」を高らかに表明しています。とても心強い宣言です。
 教育が、子どもたちをその存在そのものとして大事にするものとして行なわれる、そのためにも、今の憲法の理念を守り、時代錯誤の改憲を行わせないことが、もうひとつのやれること・やらなければいけないことだと思います。

※日弁連の「改正教育基本法の成立についての会長談話」は、日弁連のホームページ
  http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/061220.html  を参照。
 また、兵庫県内には、教育基本法や教育問題に熱心に取り組んでいる若い弁護士さんがいて、ブログでその活動や発言を見る事ができます。読んでとても励まされました。
     津久井進の弁護士ノート  http://tukui.blog55.fc2.com/
     弁護士村上英樹のブログ  http://blog.so-net.ne.jp/h-m-d/
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コメント

ご紹介ありがとうございました。
とにかく、私たちの国には、まだ「憲法」が生きています。
また、「現場」は法律で変わるものではなく、そこにいる人間が創っていくものです。
憲法と現場をつなぐ間の「基本法」が多少変わったとしても、大切なものは揺るがないと信じたいと思っています。頑張りましょう。

つくいさん、コメントありがとうございます。
今のところ、ほとんど言論弾圧法としか思えない「国民投票法案」が心配ですね。なにか一緒にできることがあったら、よろしくお願いします。

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